目指すは“断らない診療所”どんな患者でも最後まで寄り添う
しかし当初入院した病院では、もともと持つ激しい気性から暴言や破壊行動をたびたび繰り返し、結果、退院を余儀なくされ、病院を転々としていました。
そのうち病状悪化で通院がままならなくなり、在宅医療がスタートしました。しかし、暴言や破壊行動は変わらず、訪問看護事業所のスタッフがストレスで疲弊。その訪問看護事業所は撤退する事態に。そこで私たちは、ケアマネジャーさんたちと対策会議を重ね、複数の訪問看護事業所に協力を仰ぎました。
このまま患者さんを見放したら、ご近所の方などとのトラブルの果ての孤独死です。仮に道端での行き倒れなら救急車を呼ばれ搬送となる可能性は高い。それを未然に防げるからこそ存在価値を持つ在宅医療であり、その役割を自ら放棄することはできませんでした。そして、訪問する医師やスタッフの人数を変更するなどしてより多数の目を入れながら、この患者さんの在宅医療をなんとか続けられました。
元料理人だった患者さん。好物だったラーメンや焼きそばも、自ら作って食べた時などは、おいしかったと感想を教えていただいたりもしました。