口から食べられなくなった時の点滴は苦しみを増幅させる
口から食べたり水分を取ったりすることが困難になると、点滴をするのが当たり前だと、皆さん思っているのではないでしょうか。
実際、息を引き取るギリギリまで点滴を行う病院も珍しくはありません。
一方、在宅医療の場合、患者さんが口から食べられなくなった時には、ご家族に余命について説明し、点滴を続けていたずらに死を先送りせず、点滴を止め、自然にみとっていくことを提案しています。
一般的に点滴による栄養補給は、治療の見込みのある患者さんであれば、効果を発揮し体を元気にさせる可能性があるのですが、旅立ちを目前とした患者さんでは、点滴による栄養や水分を体が処理できず、むくみや痰の原因になり、結果として患者さんの苦しみにつながりかねません。穏やかな最期を迎えるためには、むしろ点滴がない方がいいのです。
在宅医療の現場では、患者さんにとって負担となる終末期にならないためにも、ご家族に事前に説明し納得してもらった上で、亡くなる前の点滴はなるべく避けるようにしています。