輸血も在宅で可能 不快症状が改善して余命が延びる人もいる
「そんなことまで在宅でできるの?」と驚かれる医療のひとつに、輸血があります。輸血は手術や事故などで大量出血した時のほか、病気や抗がん剤の副作用で血液の成分をつくれない時、血液の成分が大量に消費される時、血液の成分が壊される時などに行われます。患者さんの負担をより軽くする意味合いから、輸血は在宅医療に非常に適していると私は考えています。
病院で輸血する場合ですと、ほかの患者さんもいるために順番待ちをせねばならず、血液検査などを含めるとどうしても3~4時間はかかってしまいます。場合によっては入院が必要となることもあります。一方、在宅医療では患者さん一人を集中して診ることができるので、所要時間は1時間ほど。輸血中は医師が患者さんの横について見守っているので安心です。
それにこれまでの経験から言えることですが、だいたいの余命を宣告された患者さんが在宅で輸血を受けた結果、比較的元気な期間が続くという方が珍しくないのです。たとえばこんなケースがありました。
それは、急性骨髄性白血病と診断された70歳の男性の患者さん。病院に入院し寛解導入療法という、骨髄中に増えた白血病細胞を死滅(寛解)させ正常な血液細胞を増やす強力な抗がん剤治療を受けたものの、寛解とはなりませんでした。