いまも残る天然痘のリスク 日本は種痘を備蓄しているが…
ただしいまは、その時からさらに20年近くが経過しています。予防効果はもっと弱まっているはずです。また現在46歳以下の大半は、種痘を受けたことがないため、まったく無防備の状態です。
天然痘ウイルスは感染力が強く、接触感染だけでなく空気感染もします。もしバイオテロが起きたら、大惨事が予想されます。天然痘患者の飛沫を吸い込んだり、膿に触れたりすると、罹患率は80%以上、死亡率は40%以上に達するとされているのです。
厚生労働省は、テロに対応するために種痘を備蓄しています(量は非公表)。もしものときの接種体制については、2004年に「天然痘対応指針」として公表されています。医療従事者と公務員を優先すること、2人の医師を中心として1班を構成し、1班当たり、1時間につき40人程度に接種すること……などが書かれています。しかし、これで国民全員に間に合うかどうかはかなり不安ですし、そもそも量が足りるのか分かりません。