著者のコラム一覧
永田宏長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

地球規模で見た血液型の分布と感染症「北A/南O、西AO/東B」

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 血液型が発見されたのは1901年、オーストリアの病理学者・ラントシュタイナーによるものです。人間には4種類の血液型があることが明らかになり、A型、B型、O型、AB型と命名されました。この発見によって、安全な輸血が可能になったのです。

 そんなときに第1次世界大戦が勃発します(1914~1918年)。イギリス、フランス、ロシアなどを中心とする連合国と、ドイツ、オーストリア=ハンガリー帝国、オスマントルコなどを中心とする中央同盟国の間で、ヨーロッパを主戦場とした総力戦が展開されました。

 長期にわたる塹壕戦で、両陣営とも将兵の消耗が深刻になり、植民地から兵員や雑役夫がかき集められ、狭い戦線に押し込められました。戦闘になれば輸血が必要になりますから、兵士たちの血液型検査が始まります。すると不思議なことに、兵士の出身地で血液型の割合が違っていることが分かってきたのです。

 ヨーロッパ人はA型とO型が多く、大ざっぱに言ってA型とO型がそれぞれ40~45%、B型が10%前後、AB型が5%といったところです。しかし同じヨーロッパでも、南のイタリアやスペインではO型の割合が高く、北に行くほどA型の割合が高くなる傾向があります。また西と東でも違っており、イギリスやフランスではB型とAB型が少ないのに対して、ドイツ、ハンガリー、ポーランドなど、東に行くほどB型とAB型が増えていきます。

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