ジェネリックも先発薬も…深刻な「クスリ不足」の現状はどうなっているのか
それを受け、全国で立ち入り調査や自主点検が実施された結果、複数のメーカーで製造工程の問題が見つかり、2021年から2022年にかけて9つの会社に相次いで業務停止命令が出る事態となった。
「この一連の不祥事によって、医薬品の出荷が次々にストップしました。あるクスリの出荷が止まると、同じ成分のクスリを製造しているメーカーに注文が殺到することになります。しかし、製造や供給の量には限界があるため、すべてに対応するのは難しい。そうした状況があちこちで起こったのです。さらに、新型コロナウイルスの世界的な流行やロシアのウクライナ侵攻などの影響で、『バルク』と呼ばれるクスリの原材料の確保や流通にも支障が出ました。こうしたさまざまな要因が重なって、全国的なクスリ不足が続いているのです」
日本ジェネリック製薬協会の調査では、今年5月末の時点で約2500品目の供給調整が行われているという。治療薬が不足している疾患は、喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患、狭心症や不整脈などの心臓疾患、気管支炎や肺炎などの呼吸器疾患、胃炎や胃潰瘍などの消化器疾患、てんかん、うつ病、リウマチ、骨粗しょう症、感染症など多岐にわたる。