1999年に若年性アルツハイマー病の専門外来を開いた理由
“川上”から“川下”までは、だいたい25年ほど。アルツハイマー病は65歳以上で増えますから、40歳くらいからアミロイドβの蓄積が始まるわけです。
一方、若年性アルツハイマー病は、65歳未満で発症した場合を指します。
発症の平均年齢は51歳。“川上”から“川下”の話を当てはめると20代からアミロイドβが蓄積し始めることになりますが、そんなに若い年代から……ということは考えづらく、アミロイドβの蓄積スピードが速いのではないかと考えています。
■診断が難しく、症状が重くなりやすく、進行も早い
若年性アルツハイマー病も老年性のアルツハイマー病も、治療法(対症療法)は共通しています。それでも若年性に特化した専門外来が必要だと考えるのには、次の理由があります。
まず、初期の診断が難しい場合があること。若年性では初期症状がうつ症状として出ることがあり、精神疾患に間違われやすい。
物忘れの症状が、アルコール性健忘症、甲状腺機能低下症、慢性硬膜下血腫といったアルツハイマー病以外の病気が原因になっていることもある。「(別の病院で)若年性アルツハイマー病と診断された」という方を詳細に検査したところ、アルコール性健忘症だった、というケースは一度や二度ではありません。