若年性認知症の介護者が高齢の親の場合に生じる問題は?
若年性アルツハイマー型認知症を発症した場合、介護者が高齢の親になるケースがあります。65歳未満で発症したものを若年性認知症と呼び、発症年齢の平均は51.3歳と推測されています。近年は生涯未婚率の上昇に伴い独身の方が増えたのも、介護者が高齢の親になる原因のひとつでしょう。
また、結婚していても、配偶者の認知症に対する理解が不十分だと患者の症状による言動や行動に戸惑い、夫婦関係に亀裂が入りやすい。その結果、別居して患者は実家に戻るとなると、介護者は必然的に親になるでしょう。
介護者が高齢の親の場合、経済的負担のほかに体力面で介護する際にさまざまな問題が生じます。当院を受診された40代前半の患者さんで、徘徊して電車に乗り継ぎ他県まで移動した方がいました。あるお宅の庭にいるところを家主に発見され警察に保護されましたが、認知症を発症しても体力は低下しないので、徘徊などが続けば介護する家族は疲弊していきます。
とりわけ認知症の介護者の場合、「家庭がある他の子供たちには迷惑かけたくない」と、親だけで抱え込み、自分たちが亡くなった後の認知症のわが子の生活に不安を抱えている方も少なくありません。