65歳未満で発症する若年性認知症になったら仕事は続けるべきか
一般的に高齢者に多い認知症のほかに、65歳未満で発症する「若年性認知症」があります。女性に比べ男性に多く、働き盛りの50代で発症するため仕事を辞めてしまうと収入がなくなり、家計に大きな影響をもたらします。また、家のローンや子供の学費が残っている家庭では、経済的に困窮するケースもみられるので、発症後の仕事の継続は大きな課題になっています。
若年性認知症の発症後も仕事を続けると、認知機能低下の進行速度を遅らせる可能性があります。ですから、患者さんには仕事の継続を勧めています。
仕事で人と会話をするときは、家族や友人と接するときとは異なる言葉を使います。たとえば、営業職の人はどういう話し方をすれば相手に伝わりやすいか、取引先に失礼がない言い回しをできるかなど、頭の中で言葉を組み立てながら話すので脳をよく使うことになるのです。特にアルツハイマー型認知症の場合、構成力が失われる症状がみられます。そのため、料理や旅行の段取りが困難になるのですが、仕事をしていると一日のやるべき業務のスケジュール管理が必要なので、構成力が鍛えられ、認知機能を比較的維持することができるのです。