著者のコラム一覧
東敬一朗石川県・金沢市「浅ノ川総合病院」薬剤部主任。薬剤師

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

「痛み止め」と「胃薬」がセットで処方されるのはなぜか

公開日: 更新日:

 粘液が減少すると胃は胃酸の影響を受けやすくなってしまって、胃潰瘍の原因となる可能性があります。このリスクはNSAIDsを長期間継続して服用していると上がり、頓服ではあまりありません(頻回に服用するとリスクは上がります)。こういったNSAIDsによる胃潰瘍を予防するために、特に継続して服用する場合には胃薬が一緒に処方されるのです。

 NSAIDsすべてにおいて胃潰瘍のリスクが高いというわけではありません。シクロオキシゲナーゼには2種類あり、胃の粘液の生成に必要なシクロオキシゲナーゼにはあまり作用せず、痛みの原因となるプロスタグランジンの生成に関与するシクロオキシゲナーゼに重点的に作用するNSAIDsもあります。とはいえ、いずれのNSAIDsも大なり小なり胃の粘液の生成を抑制するので、高齢者や胃潰瘍の既往がある人が使用する場合はどのNSAIDsであっても胃薬を併用した方がいいでしょう。

 NSAIDsを継続的に服用していても、「別に胃は痛くないから胃薬は服用していなかった」という患者さんもたくさんいらっしゃいます。でも、その胃薬にはとても大事な役割があります。胃潰瘍になってからでは遅いので、NSAIDsと胃薬が同時に処方された場合は、どちらも忘れず医師の指示通りに服用するようにしましょう。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議

  2. 2

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  3. 3

    吉川ひなのだけじゃない! カネ、洗脳…芸能界“毒親”伝説

  4. 4

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  5. 5

    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    木村拓哉"失言3連発"で「地上波から消滅」危機…スポンサーがヒヤヒヤする危なっかしい言動

  3. 8

    Rソックス3A上沢直之に巨人が食いつく…本人はメジャー挑戦続行を明言せず

  4. 9

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 10

    立花孝志氏『家から出てこいよ』演説にソックリと指摘…大阪市長時代の橋下徹氏「TM演説」の中身と顛末