「痛み止め」と「胃薬」がセットで処方されるのはなぜか
粘液が減少すると胃は胃酸の影響を受けやすくなってしまって、胃潰瘍の原因となる可能性があります。このリスクはNSAIDsを長期間継続して服用していると上がり、頓服ではあまりありません(頻回に服用するとリスクは上がります)。こういったNSAIDsによる胃潰瘍を予防するために、特に継続して服用する場合には胃薬が一緒に処方されるのです。
NSAIDsすべてにおいて胃潰瘍のリスクが高いというわけではありません。シクロオキシゲナーゼには2種類あり、胃の粘液の生成に必要なシクロオキシゲナーゼにはあまり作用せず、痛みの原因となるプロスタグランジンの生成に関与するシクロオキシゲナーゼに重点的に作用するNSAIDsもあります。とはいえ、いずれのNSAIDsも大なり小なり胃の粘液の生成を抑制するので、高齢者や胃潰瘍の既往がある人が使用する場合はどのNSAIDsであっても胃薬を併用した方がいいでしょう。
NSAIDsを継続的に服用していても、「別に胃は痛くないから胃薬は服用していなかった」という患者さんもたくさんいらっしゃいます。でも、その胃薬にはとても大事な役割があります。胃潰瘍になってからでは遅いので、NSAIDsと胃薬が同時に処方された場合は、どちらも忘れず医師の指示通りに服用するようにしましょう。