元巨人・クロマティの下半身不随初告白動画が話題に…誰でも発症する「歩けなくなる病気」の怖さ
脊柱管狭窄症を患う医師が手術を受けない理由
では、脊柱管狭窄症はどうか。クロマティは腰痛がひどく、10代のころから悩まされていたことを番組で語っているが……。
「私の原因は、学生時代にやっていた相撲で間違いないと思います。156センチの小兵ですから、大柄の相手と勝負するには腰を低くして下から当たる稽古を繰り返していました。当然、腰にはよくありません。その衝撃の積み重ねで腰椎などの変性を引き起こし、神経を圧迫する脊柱管狭窄症につながったのです。格闘技は脊柱管狭窄症のリスクが高い。元プロレスラーの天龍源一郎さんは長いレスラー生活の影響で首から腰の骨がボロボロで脊柱管狭窄症を発症しています。野球は格闘技ほどではないとはいえ、バッティングは腰を強くひねる動作ですから、脊柱管狭窄症のリスクは低くありません。ゴルフも同様に要注意です」
クロマティが脊柱管狭窄症で手術を受けたのは徳島大病院整形外科の西良浩一教授で、番組では現役時代の巨人のチームメート・中畑清やレッドソックスの吉田正尚らも執刀したスポーツ医学の名医として紹介された。手術は成功し、神経の圧迫が取り除かれたことでしびれなどが軽くなったのか、クロマティの表情は明るいが、自由に歩くことはできていない。ギラン・バレー症候群によるマヒがいまも重く残っているようだ。
実は富家氏は、脊柱管狭窄症の手術を受けていない。なぜか。
「主治医には、『5分歩くことが難しくなったら手術を考えましょう』と言われていますが、幸い6分弱は歩けますから手術は考えていません。痛みとしびれが増してきたら、歩道の端で休んで様子をみればいい。移動に時間がかかりますから、仕事や会合などで移動するときは、少し早めに家を出ていて、駅から待ち合わせ場所までは近くてもタクシーを使うことが多いですね。それで十分仕事もプライベートも楽しめますから、手術はしません。この手術が怖いのは、手術ミスで神経を損傷すると、本当に下半身不随で自立歩行ができなくなるのです。私は医師として失敗例を数多くみてきました。そのリスクを考えると、いまのままの生活でまったく問題ありません。万が一、神経への圧迫が悪化して、排尿や排便に異常が現れると、それは生命に影響が及びますから、手術も検討しますが、いまの症状のままなら手術はしません。喜寿で下半身不随は嫌ですわ」
■マッサージと筋トレ
生活の中で心掛けていることがあるという。
「1つは、腰痛改善に効果的なマッケンジー法です。うつぶせ寝の状態から両腕をついて上半身を起こしてエビ反りのような姿勢になる体操で、1セット10回を朝昼晩に分けて毎日6~8セットほど行っています。もう1つは筋トレで、スクワットを20回、腹筋と背筋を20回ずつ。体を支える筋肉が衰えると、症状が悪化しますから」
脊柱管狭窄症は患者数が580万人と推定され、高齢者は10人に1人が患っているという。高齢化で増加傾向だけに、クロマティの告白を人ごとと思わず、富家氏のような体操と筋トレに努めてはいかがだろうか。