心臓外科医が教える患者のための基礎知識(2)狭心症の原因は不明…10年ごとに冠動脈CT検査を
狭心症は心臓の表面にある、わずか2ミリ程度の冠動脈という血管が詰まってきて起こります。狭心症になるのは、悪玉コレステロールの血液中の濃度が高い人、糖尿や肥満などごちゃごちゃ言われていますが、原因は不明です。従って、決定的な予防法はありません。
狭心症は心臓が困っているときに「痛み」でサインを送るとされています。私が医学部にいたときは「焼け火箸を胸の真ん中にあてられたような痛み」という文学的なレトリックで表現されていました。心臓君がどんなに苦しくても黙って我慢してぜんぜん教えてくれない「無症候性狭心症」というのもあります。実にややこしい。
治療はカテーテルでエントツ掃除のように流れが悪くなった血管の通りをよくする方法と、冠動脈バイパス手術という、流れが悪くなった冠動脈の下流に別の血管の迂回路を増設する工事を行う方法があります。
こんな手術を受けなければならない患者の血管はボロボロです。私は「ボロボロの血管を修理する」という技術を求道してきた職人ですが、「こんな状態になる前に病気の進行を食い止めることができなかったのか」と毎度思います。