クスリはどうやって効果を発揮するのか? “リレー”をイメージ
高齢者だけでなく、クスリを使っている人すべてにお伝えしたいことがあります。「クスリはどうやって効果を発揮するのか」についてです。
これまで、さまざまなクスリについて紹介してきましたし、その都度「どうやって効くのか」にも触れてきましたが、今回はそれをできるだけイメージしやすいような表現でお話しします。
クスリの効果の発揮の仕方のことを、われわれは「作用機序」と呼んでいます。症状(自覚のあるなしにかかわらず)というのは、いくつものシグナルの伝達によって引き起こされます。私はこれを“リレー”に例えるとわかりやすいと考えています。クスリはこのリレーに何らかの介入をすることで、効果を発揮するのです。
リレーをしていってゴールテープを切った時点である症状が出るとイメージしてみてください。この症状が、痛み、発熱、高血圧といった「望ましくないもの」だった場合は、できるだけゴールさせないように邪魔をしてあげればよいのです。こういったとき、みなさんならどうするでしょうか?
たとえば、ゴールテープをより遠くにしてしまえば、なかなかゴールできませんよね。ランナーに毒を盛ったり、シューズを隠してしまったり、リレーのバトンを奪ってしまったり、見た目はそっくりだけど、じつは足の遅い選手に入れ替えてしまったり、選手をひとり監禁してしまったり……なんだかとても陰湿な話になってしまいましたが、こういった手段が考えられると思います。