進まぬ東京の直下地震対策 自治体や個人ですぐできること
土屋氏は、今すぐにやれる対策として防災拠点をつくることをポイントに挙げた。
「墨田区の東白鬚地区、江東区の亀戸・大島・小松川地区は、地域を挙げて避難広場を設置したり、災害に強いまちづくりをしています。こうした取り組みが必要なのです。区画整理も必要で、道幅4メートルに満たない袋小路をつくらないこと。逃げ場や延焼の対策にもなります」
水害への備えも欠かせない。荒川区、江東区や江戸川区のような海抜0メートル地帯は、長ければ2週間も動けなくなるという。それなのに東京には、避難ビルや津波タワーがない。高層ビルはあっても、ほとんどは屋上を開放していないのが現状だ。
マンションも、一部に避難協定を結んでいるところもあるが、基本的にセキュリティーが厳重で見ず知らずの人間は駆け込めない。避難所が圧倒的に不足しているのだ。
「一部地域では“命山”となる高台化を進めています。たとえば、江戸川区の篠崎公園は高台化計画を実施しています。7メートル級の盛り土で、予測される津波や高潮のプラス1メートル以上の高台に逃げられるようにする計画です。もっとも、自治体の事業を待っているだけではなく、個人レベルでも対策は必要。たとえば営業先で津波リスクのあるエリアに通っている人は、その周辺の最大津波の大きさを把握し、それ以上の高台の位置をあらかじめ知っておくことです」(土屋信行氏)
自分の身は自分で守る覚悟が必要だ。