必要経費は100万円? 筋肉マッチョが「ミスターコンテスト」に挑む理由をグランプリ受賞者に聞いた

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コクハク

 女性の外見や内面の美を競うミスコンテスト(以下、ミスコン)。ルッキズムの議論が広がる昨今、ミスコンの意義を問う議論が絶えません。ですが、コンテストは女性だけにあらず。今はミスターコンテストも徐々に注目を浴びつつあるのです。

 なぜ彼らは出場を決意したのでしょうか? グランプリ受賞者の一人に話を伺います。

【後編:「鏡を見るのさえ嫌だった」ミスターコンGP受賞者に聞く、自分好きになる方法はこちら】

「ミスターコン」で100万以上の出費をすることも

 ミスターコンテスト(以下、ミスターコン)といえば日本一のイケメン高校生を決める「男子高生ミスターコン」や東大や慶應の大学イベントなど、若い男性のコンテストを思い浮かべるかもしれません。しかし現在は、20代から60代など自信さえあれば年齢を問わないミスターコンテストが数多く存在します。

 詳しい人物によれば「ミスターコンに出場するためには、お金がかかります」とのこと。容姿を磨く自己投資費や、移動費も含めた大会参加費など諸々合わせて30万円から50万円、下手したら100万円近くかかる場合もあるのだそう。

 なぜ彼らは、高い出費をしてまでミスターコンに出場するのでしょう。今年4月に行われた「Mr. Phoenix 2024」に参加し20代クラス「アレス」でグランプリを受賞した上山乃天さん(うえやま・のあ/24歳)に話を聞きました。

「トレーニングで食欲や物欲がなくなるんです」

「自分の理想の体を想像し、少しでも近づいてることを認識するために出場しました。自分の仕事はトレーナーなので、日常的にトレーニングをしています。トレーニングを突き詰めると、自分の体をより良くすることに集中して過ごすので、食への執着や物欲がなくなるんですよね。

 つまりコンテスト出場は日頃の自己研鑽の答え合わせのような場。女性が美容院やエステに定期的に通って体を保つように、自分にとっても必要な場なのです」

 上山さんはこれまで2021年に全身の造形美を競う「APF Sports Model」アスリートモデル部門で3位を、老舗のボディービルの大会「NABBA JAPAN」のスポーツモデル部門で5位を、2023年には「Sexy Body Labo」などでも受賞経験があるのだとか。

 また、毎回「エントリー費は4万円ほど、ヘアメイクや日サロ代などを含めたら30万円ほどをかけていますが、これは自分に必要な自己投資だと考えています」と言います。

 そして今回、ただのボディコンテストではない「Mr. Phoenix」に参加したのもこんな理由からだと言います。

筋肉至上主義から「中身」磨きに

「これまではまさに筋肉至上主義でした。日頃食べる物も、時間の過ごし方も、すべて筋肉をより良くするための行動を取ってきたのですが、外見磨きばかりで中身が未熟なことに気づいたのです。

 中身も成熟した人間になるためにはボディコンテストではなくミスターコンテストだろうと。そんななか『Mr. Phoenix』への出場を誘われたのです」

 あるミスターコンテストの会場でミスコン受賞者のマダムに声をかけられた上山さん。そのマダムから「あなたにはまだ内面から滲み出るものがないわね」と指摘されたのだとか。

 そのマダムと電話で話をするうちに「外見磨きの次は内面磨きだ」と「Mr. Phoenix」への誘いを受けたのだそうです。

 上山さんは「Mr. Phoenix 2024」にエントリーした昨年10月から、日本大会が行われた4月30日までの約半年間をこう振り返ります。

「コンテスト開催前までに行われるセミナーや交流会などがあり、これまで触れ合うことのあまりなかった40代から60代の男性参加者らと過ごしました。そこで、これまでに感じえなかった価値観や知識を得て、年齢を超えた友人ができたんです」

ミスターコンは「人生を楽しむ場所」

 上山さんにとってコンテスト参加は「自己確認と新たな刺激を得る場」だと言います。では、コンテスト主催者はどのような考えで開催しているのでしょう。

 大会主催者でファンダーの伊藤孝氏は日本で唯一のコンテスト主催団体、一般社団法人国際女性支援協会ローズ・クルセイダーズ(代表理事 伊藤桜子)に所属し、自身もウェルネスを大事にするためにボディメイクコンテスト経験者です。

「これまでアメリカで約40年の歴史のあるミセスのための「ミセス・インターナショナル」の公式日本支部を勤めてきました。

 そんな私達が2022年に『Mr. Phoenix』を創設したのは、男性の弱体化が目立つ昨今において生涯魅力的な男性であるためのコンテストを作ろうと、それも女性視点から審査を行うコンテストの必要性を感じたからです」

 上山さんは「人生って退屈じゃないですか。そんな退屈な人生を楽しむひとつの場がミスターコンテストです」と笑います。
 
 後編では、イケメンで爽やかに笑う上山さんの意外な幼少期と今現在の葛藤について迫ります。

【後編:「鏡を見るのさえ嫌だった」ミスターコンGP受賞者に聞く、自分好きになる方法はこちら】

(河合桃子/ライター、ジャーナリスト)

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