シャッポのすげ替えではどうにもならない 八方塞がりで再選出馬断念 絶望的な自民党の今後(上)
身を引くことが「党刷新」とか言いながら、これまで辞めなかった二枚舌
ようやく岸田首相が「退陣」を表明した。9月に行われる自民党総裁選に出馬しないという。
14日の記者会見。不出馬を決断したタイミングについて、岸田は「政治とカネをめぐる問題が発生してから、トップとしての責任のあり方について思いをめぐらしてきた」などと、あたかも以前から責任を取るつもりだったかのように語っていたが、大嘘もいいところだ。
つい最近まで、なんとか延命をはかろうと画策していたのが実態だからだ。
先週8日(木)、岸田と電話で話したという政治解説者の篠原文也氏はこう言う。
「本人はやる気満々でしたよ。もちろん、総裁選にも出馬する意向でした。党内情勢も気にしていた。とくに、地方票の動向を気にかけていましたね。地方票は国会議員票に影響しますからね。本人には、勝てる望みもあったのでしょう」
7月に訪米するなど外交に力を入れたのも、改憲に意欲をみせはじめたのも、すべて9月の総裁選で再選されるためだったのは間違いない。周囲には「あの派閥はどう動くのだろうか」「あいつは出馬するのだろうか」と、総裁選について情報収集もしていたという。
ただ、先週から強気と弱気が入り交じり、心が揺れはじめていたようだ。自民党関係者がこう言う。
「7月中は『俺が総裁選への出馬を表明したら、誰も手を挙げられないはずだ』と強気でした。実際、現職の総理総裁が再選出馬したら、支えなくてはいけない幹事長や閣僚は手を挙げづらいですからね。ところが、先週から突然『大事なのは俺の再選じゃなくて、自民党が政権を維持できるかどうかだ』と口にしはじめた。あの頃から総裁選への出馬は難しい、と考えていたのかも知れません」
楽しみにしていた中央アジアへの外遊が中止となり、気落ちしていたという話もある。
しかし、そもそも世論調査で7割以上が「首相をつづけて欲しくない」と答えているのに、それでも総裁選に再選出馬しようと考えること自体、どうかしているというものだ。
退陣表明は遅すぎたくらいである。