「ホンネがわかる妻ことば超訳辞典」高草木陽光氏
「ホンネがわかる妻ことば超訳辞典」高草木陽光著
「普通に答えただけなのに、怒られる」「何をしてもダメ出しされる」「いつも機嫌が悪い」などと、妻に対してモヤモヤや不満を持っている「夫」が、実は多いという。小さなすれ違いも、回を重ねれば離婚など大問題に発展しかねないのは自明の理。どうすれば妻を怒らせず、穏やかな日々が過ごせるのか。
「15年前から“夫婦問題カウンセラー”として活動し、約1万人のカウンセリングをしてきました。意外にも、相談者の約半数は男性。年齢はさまざまですが、皆さん、『妻が分からない』とお悩みなんですね。それは、妻の言葉の裏側に隠されている本音に気づいていらっしゃらないからだと思います。夫に理不尽なトバッチリがくることなく幸せな家庭生活を送る方法は、突き詰めると至ってシンプル。夫が『妻ことば』を額面通りに受け取らず、真意に目を向けることです」
本書は、見開き完結の形で、各ページに妻が口にする104の言葉が挙げられ、「超訳」ことその言葉の真意、その際に夫が口にしがちな返答、全体の解説、そして夫の「こじらせない返答例」を紹介している。掲載の「妻ことば」は、世の夫の誰もに、身に覚えがあるはずの言葉ばかりだ。
「例えば、『なんか頭が痛い。風邪ひいたかも』と妻が言う。それは体調の報告をしたいのではなく、いたわりや優しい言葉がほしいときの言葉なんですよ。なのに、夫はそれに気づかず、反射的に『病院行ってきたら?』と答えちゃう。あるいは『オレも』と自分の体調不良をかぶせてアピール。最悪は、『オレのメシは?』。自分中心の返答に、妻が怒るのは無理ありません。こじらせない返答は『大丈夫? 食欲は? 食べられそうなら何か作るよ』『あとは僕がやるから、今日は早く休んで』です」
「夕飯なに食べたい?」と聞かれ、「なんでもいいよ」もNG返答。献立を考えるのが苦痛なとき、また「家族が食べたいものを作ってあげたい」という思いやりから発せられる言葉だから、「今日は僕が何か作ろうか、それとも外に食べに行く?」「(妻の名前)の料理はなんでもおいしいけど、今日はサッパリ系の気分」が模範返答だという。
「妻から質問や詰問をされ、返事できないでいると『すぐそうやって黙る』と怒られませんか? 妻は夫の言葉を10秒も待てないのです。そんなときは、『今すぐには考えがまとまらないから、なんて言ったらいいのか分からないんだ。少し考える時間をちょうだい』と正直な気持ちを言葉にして伝えてください」
夫婦の会話に大切なのは「君の言うこと、分かる」という共感力と、「いつもありがとう」という感謝の気持ち。さらに相手を「褒める」「ねぎらう」ことの習慣化だと著者。全部の事例を暗記したくなるが、それは無理。
本書の末尾に「共感を示したり会話を円滑にしたりする言葉」として、「“そ”れだけ覚えとけ8選」が載っている。「そうそう。そうだね。そうしようー。それいいね」など「そ」から始まる8つの言葉だ。
「まずはこれをマスターして“慣らし運転”してみてください。家の中の雰囲気が激変しますよ」
(青春出版社 1980円)
▽高草木陽光(たかくさぎ・はるみ)夫婦問題カウンセラー。「HaRuカウンセリングオフィス」代表。NHK「あさイチ」など、テレビやラジオの番組に出演も多い。著書に「なぜ夫は何もしないのか なぜ妻は理由もなく怒るのか」など。