「もふもふ 犬猫まみれの短編集」カツセマサヒコほか著

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「もふもふ 犬猫まみれの短編集」カツセマサヒコほか著

 進学のため家を出た大学生の「俺」に、親父からメッセージが届く。そこには飼い犬の「フクスケが、死んだ」とだけ記されていた。実家に帰ると、段ボールに収まったフクは気持ちよさそうに眠っているように見える。しかし、それはフクではなく、フクの入れ物だと思った。13年、人生の大半を一緒に過ごしたフクは弟のような存在だった。だけど、その死を実感しても涙は出なかった。

 その日、父親から散歩中、いつもフクをかわいがってくれた三重原さんの息子さんが死んだことを教えられる。34歳だったらしい。父親はフクの死で三重原さんの気持ちがようやく分かったという。(カツセマサヒコ著「笑う門」)

 ほか、ホラー仕立ての恩田陸著「忠告」など、犬と猫を主人公にした8作品を編んだアンソロジー。

(新潮社 693円)

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