「水たまりで息をする」高瀬隼子著

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「水たまりで息をする」高瀬隼子著

 仕事から帰宅した衣津実は、洗面所のバスタオルで夫の研志が入浴をしていないことに気づく。尋ねると、風呂には入らないことにしたという。水道水がくさくて、それが体につくとかゆい感じもあり、こんなくさいものを飲んだり、体にかけたりしていたと思うだけで嫌な気分になると話す。

 衣津実はミネラルウオーターで体を流させたりするが、次第に夫からは体臭が漂い始める。雨を浴びたり、雨水をためて体を流したりと夫も努力をするが、かたくなに入浴だけは拒否。

 3カ月後、夫の会社から連絡がきたと義母から問い合わせの電話が入る。このままでは仕事も失いかねないと義母から攻められても、衣津実にはなすすべがない。

 入浴しない夫を許したいけど許せない主人公の葛藤を描く問題作。

(集英社 594円)

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