肌のかゆみの原因は?「乾燥とは無縁」と強がる男性の誤解が症状を助長する
この冬、太平洋側は晴天が続き、空気が乾燥している。東京の場合、1月の湿度は、1991~2020年の平均で50%ほどだが、今年は9日に最低湿度14%を記録するなど、最低が30%前後の日は少なくない。それで困るのが乾燥肌だ。「乾燥とは無縁さ」と強がる男性の皆さん、そのかゆみ、乾燥が原因かもしれない。
◇ ◇ ◇
今年49歳になる記者は汗かきで、夏はもちろん冬も体を動かすと汗だくになる。ラーメンやうどん、カレーなど保温効果の高い料理を食べたときもビッショリだ。そんな体質だから、乾燥肌は無縁だと思っていたが、寒くなり始めた昨年11月ごろから脚や腕などのかゆみが気になりはじめ、皮膚科を受診すると、「乾燥が原因です」と指摘されて驚いた。
症状の経過を振り返ると、仕事を終えて夜中に帰るときより、昼間に取材で外出しているときの方が手や顔など露出している肌の乾燥が気になった。すみれ皮膚科クリニックの藤田伸弘院長が言う。
「晴れた日の湿度は、一般に気温と逆の傾向を示しますから、気温が下がる夜に上昇し、日中の気温上昇で下がるのです」
なるほど、14%だった9日の最低湿度も、15時34分に記録されている。そう言われてみると、当然の理屈だが、帰宅して屋外より潤っているはずの室内でも肌の乾燥とかゆみを感じるのも事実。藤田氏が続ける。
「男性は乾燥肌を誤解している人が多く、その誤解が症状を悪化させていることが少なくないのです」
■顔の水分量は女性より少ない
どういうことか。藤田氏に対策を含めて詳しく聞いた。
「男性は女性に比べて顔の皮脂が多く、年を重ねても皮脂は減りにくい。加齢とともに皮脂が減る女性とは対照的です。程度の差こそあれ皮脂でベタつくことが、男性にとって乾燥の自覚をなくす要因でしょう。では肌が蓄える水分量はどうかというと、顔は男性の方が女性より少ない傾向なのです」
その原因は、いくつもある。皮脂の多さについては男性ホルモンや脂っこい食事の影響などで、水分量の少なさについては女性ほど保湿をしないことやひげ剃りなどの影響が考えられるそうだ。肌の水分量を測定すると、男性は頬や口元を中心に顔全体でも女性より少なく、女性の3分の2程度だとする調査結果もある。
これが男性の誤解のひとつで、根本的な勘違いによって何も手を打たない人が多いから、水分がどんどん失われ、肌が乾燥する。空気中の水分量が少ない冬はなおさらだろう。そうやって肌が乾燥すると、バリアー機能が失われて、衣服でこすれたりする刺激が肌に伝わりやすくなり、かゆみの知覚神経が過敏になり、かゆくなりやすいと考えられているという。
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