歴史的転換点に立つ大阪市の喫煙規制(2)市たばこ税308億円に対し、分煙施設整備はわずか11億円
賃料問題について、答弁に立った環境局の担当者は「補助制度の在り方につきましては、補助制度活用の拡大策や効果的な周知啓発手法と合わせて局横断的に設置した喫煙所整備プロジェクトチームにおいて、各種団体から寄せられた意見も踏まえながら検討してまいります」と明快な回答は避けながらも、賃料補助に含みを持たせた。
今回の路上喫煙防止改正案には、路上喫煙禁止場所として、「道路等のうち、市長が指定する区域」という項目がある。私有地などをさす。もちろん、一方的な市長による指定ではなく、「当該道路等を管理する権限を有する者との合意に基づき行う」という縛りはあるものの、私有地などへの指定は慎重でなければならない。私有地規制に関してはパブコメでももっとも反対論が多かった。たばこ屋さんの店頭における灰皿設置は認められるのか。あいまいな定義ではなく、具体的かつ明快な線引き、基準を示すべきだろう。
令和6年度の大阪市予算書に計上された市たばこ税は約308億円。一方、路上喫煙対策事業の予算は令和5年度当初予算が10億1576万円。令和6年度算定は11億2076万円と微増でしかない。このうち市指定喫煙所設置経費等補助金は2億6452万円にとどまっている。この予算を見る限りでは、横山市長や環境局担当者がいくら議会で「(改修を含めて)140カ所を整備する」と強調したところで、本気度、実効性を疑ってしまう。「国際観光都市にふさわしい環境美化」を目指すのであれば、市たばこ税の10%ぐらいは財源に充てた分煙環境整備を行ったらどうか。条例改正やまちの美化を万博開催に合わせるというのであれば、世界最先端の分煙環境整備都市を目指してはどうか。2億円の公衆トイレよりはるかに関心を集め、多様性共存社会のシンボルとなり得るはずだ。 (つづく)