(1)頻脈発作、冷や汗、震え…48歳でパニック障害になって考えたこと
その瞬間、激しい動悸に襲われた。冷や汗が出て、次第に止まらなくなった。会議に参加していたときのことだ。
当時48歳。保険の審査員に任命され、2日間にわたって審査会場で、さまざまな施設の保険請求がカネ儲けのための無駄な検査ではないか、危険な検査が行われていないかなどをチェックしていた。人のあら探しをするようで、自分に向いていないと思っていたし、この会議が嫌で仕方がなかった。頻脈発作に襲われたり、冷や汗が出たり、震えたりはパニック障害の症状だ。そのときは嫌いな会議が原因とも思ったが、そのうち会議がなくても動悸や不眠などに悩まされるようになった。
当時は諏訪中央病院の院長。若い先生からは、もう、往診はしなくてもいいと言われていたものの、末期がんの患者さんの緩和ケア病棟に行ったり、往診をしたりは好きだった。精神的に支えてあげることが好きだったから、当初、パニック障害の症状は出なかったけれども、そのうち好きな往診に出掛けたときも悩まされるようになった。
あるとき看護師と往診に出掛け、車から降りようとしたとたん頻脈発作に。「ちょっと休ませて」と言って、車の中で20分くらい、呼吸を整え、脈拍が落ち着くのを待って、往診先のお宅に上がった。