「足」のトラブルは心臓病を見つける重要なサインになる
「足」のトラブルは心臓病の早期発見にとって重要なサインになります。痛み、しびれ、むくみ、腫れ、血管が浮き出るなどの外見上の変化、さらには上肢と下肢の血圧差など、自覚症状だけでなく検査や診察をすることで、心臓と血管について多くの情報がわかります。
足の血管は心臓の血管と同じように考えることができます。心臓病の代表的なリスク因子である動脈硬化は、全身の血管に同時多発的に生じるためです。心臓周辺の冠動脈が動脈硬化によって狭くなったり、詰まったりすれば、狭心症や心筋梗塞などにつながります。
そして、そうした血管の狭窄や閉塞による虚血症状は、それらの病態が生じた“ひとつ下”の部分で現れます。たとえば、骨盤の中の血管で生じると、お尻の裏、太ももならふくらはぎ、ふくらはぎなら足先にトラブルが起こるのです。そして心臓の冠動脈に比べて足の血管は細いので、動脈硬化による虚血症状は、まず最初に足に現れるケースが少なくないのです。
とくに心不全などで心機能が低下すると、下半身に集まった血液が心臓まで正常に戻らなくなってうっ血が起こるため、むくみや重だるさなどの症状が現れます。さらに、心不全の原因として低栄養がある場合、むくみが助長されます。また、高齢になって歩かなくなることで筋肉が衰えると筋肉が脂肪に置き換わり、脂肪にリンパ液や水分が入り込みやすくなります。そのため、高齢者など活動が低下した人は、さらに足のむくみが生じやすくなるのです。