脳のアイドリングを一時停止…「マインドフルネスウオーキング」のススメ
人には、「寝ているとき」や「ボーッとしたとき」などに働く脳のシステムがある。「デフォルトモードネットワーク(DMN)」と呼ばれるもので、脳の「内側前頭前野」「後帯状皮質」「楔前部」「下頭頂小葉」などの部位で構成されている。
DMNの主な役割には、「危機への備え」と「情報の整理」がある。「危機への備え」とは具体的にはすぐ動いて逃げられることを指す。これは家電の待機時消費電力や車のアイドリングに似ている。素早く動ける代わりにエネルギーを消費する。その消費量は大きい。DMN時のエネルギー消費量は活動時の20倍、脳領域のエネルギー消費の約8割といわれている。
活動しているときよりもボーッとしているときの方がエネルギー消費量が大きいとは不思議に思うかもしれない。しかし、すぐに働けるよう複雑な作業領域を複数スタンバイさせるためにエネルギーが消費されるのは当然だ。ひ弱な人間が凶暴な野獣などからの不意な攻撃から身を守るために身に付けたシステムといえる。
一方、料理や読書など、この先同じ動きが続くと予測される仕事は、効率的にこなす動きに集中するためエネルギー消費が抑えられる。