100時間カレー 米田周平社長(1)神田カレーグランプリ初のV2を達成した起業家の10代の決意
就職を決めたのは土建業の会社だったが、未成年のため親の同意書が必要だった。しかし、肉体的にもハードな仕事だからとまたしても親に反対されてしまう。米田氏は自分の思いを理解してもらえないことに大きなショックを受けたという。
■父から渡された一通の手紙
「でも、数日して父から一通の手紙を渡されました。そこには反対する理由がつづられていた。父は商社の系列企業の会社員でしたが、若い頃に新聞配達などをして苦労したから息子に同じ思いをさせたくなかったんです。それでも最後には僕の意思を尊重すると書かれていました。その手紙はいまも手元に残っています」
実際に働き始めて感じたのは肉体的な厳しさよりも、社内のよどんだ空気だった。朝令暮改が当たり前で理不尽な社長の指示や暴言に、何も言わず従う従業員たち。大人たちの覇気のない、うつろな目に違和感を覚えたと17歳だった米田氏は言う。
「つまらなそうに働く姿に希望が感じられなかった。次第にこのままではだめだと思うようになり、自分で世の中を変えてやろうという志が生まれました。そのためには自分が何かを生み出す側に立たなければならない。この時に経営者になることを決意したのです」