著者のコラム一覧
小沢コージ自動車ジャーナリスト

雑誌、web、ラジオ、テレビなどで活躍中の自動車ジャーナリスト。『NAVI』編集部で鍛え、『SPA!』で育ち、現在『ベストカー』『webCG』『日経電子版』『週刊プレイボーイ』『CAR SENSOR EDGE』『MONOMAX』『carview』など連載多数。TBSラジオ『週刊自動車批評 小沢コージのカーグルメ』パーソナリティー。著書に『クルマ界のすごい12人』(新潮新書)、『車の運転が怖い人のためのドライブ上達読本』(宝島社)、『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた 27人のトビウオジャパン』(集英社)など。愛車はBMWミニとホンダN-BOXと、一時ロールスロイス。趣味はサッカーとスキーとテニス。横浜市出身。

今、ダイハツの代わりに買うべきクルマ(1)タントの代わりに買うなら何を選ぶべき?

公開日: 更新日:

ダイハツの新車はしばらく買えない?

 年末に突如大騒ぎになったダイハツ不正問題。いわゆる国が品質保証をする「型式認証」という過程において、新たに25の試験項目で174件の不正行為が見つかったわけだが、国交省の担当審議官を直撃したところ、「今は立入検査をしている段階。174項目を改めてチェックするので、(再審査結果や再発防止策)がいつ出るかはわからない」という。

 そもそも現在、ダイハツ車および一部トヨタブランド車も全車出荷停止の状態で、販売店で新たに買うことはできない。またダイハツの国内4工場は少なくとも1月末まで操業停止で先は読めず、正直、しばらくダイハツ新車は買えなくなったとみていい。

 しかし、新車は「楽しみ」で買う一方、軽自動車などは生活必需品という側面もある。そこで代わりに何を買うべきか。その場合どんな利便性を失うかを勝手に想定してみた。

タントの代わりならN-BOXかスペーシア

 直近11月、国内でイチバン売れているダイハツ及びトヨタブランド車1位は、タントの1万5988台。今国内で最も活気のある両側スライドドアを持つ軽スーパーハイトワゴンというジャンルで、この代わりは一見簡単だ。

 今国内でブッチギリに売れているホンダN-BOXか、同様に人気のスズキ スペーシアを買えばいい。サイズと価格はタントとさほど変わらず、両車とも昨年末期に新型3代目に代わっているのでフレッシュ。上質感や広さではN-BOX、燃費の良さではスペーシアが上回る。

 ただしタントでなければいけない点もある。それは左側のミラクルオープンドアだ。競合ともに両側スライドドアだが、タントのみ助手席側のセンターピラーがない。つまり前後ドアを開け放つと、子供を横に寝かせたまま乗り降りできる横幅1.5mほどの巨大開口部が生まれる。荷物の乗せやすさはもちろん、子供が傘を開いたまま乗り降りすらできる。子育て世代に特に有用だが、この性能は惜しい。オマケに運転席にスーパーロングスライド機構が付いているので、雨の日の車内移動やリア席の子供のケアがラクチン。これまた結構惜しい利便性だ。

トールの代わりはソリオ一択

 販売2位は1万1194台のトヨタ ルーミー。ダイハツ トールとしても売られているOEM車で、両車を合わせると月販1万2000台近い。これまた両側スライドドア付き実用ワゴンだが、こちらは軽ではなくいわゆる小型車。よって代替案は唯一スズキ ソリオのみとなる。ソリオの直近月販は3933台で、CMで橋本環奈ちゃんが頑張ってる割りに台数は少ない。だが、クルマのデキがルーミーより悪いかって? いや逆だ。

 デザインは好き好きだが、サイズはどちらも背高フォルムで似通っており、全長が2020年にフルモデルチェンジしたソリオの方が9cm弱長い。これはラゲッジ長にかなり効いており、測り方にもよるが10cmほどトールより長く、リアシートを一番下げた状態で機内持ち込み用トランクが6個も載る。逆にトールは4個ほど。この違いもデカい。

 さらにソリオのほうが軽量かつマイルドハイブリッド付きもあるので、WLTC燃費最良はリッター19km台。18km台のルーミーより若干よい。乗り心地もシートを含めてソリオのほうが柔らかく、個人的にはソリオはかなりオススメだ。

ムーヴの代わりはワゴンR スマイル

 3位は7292台のダイハツ ムーヴ。普通ドアのムーヴと両側スライドドアを持つムーヴ キャンバスの軽トールワゴンだが、事実上いまはキャンバスのみ。これは一見N-BOXやタントに似ているが、全高が1.6m台と微妙に低い。その分利便性は落ちるが、窓小さめでオシャレでキュートなデザインが売りになる。

 このライバルも少なく、事実上スズキ ワゴンR スマイルのみ。正直見た目以外は意外に違いは少なく、分かりやすいところではスマイルの方が最大で4cmほど背が高いので、微妙に頭上が広い感じはある。

 また両車ともに後席シートスライド付きだが、スマイルのみ畳むと座面ごと下がって荷室がより低くフラットになる。ただしムーヴキャンバスはリア席に置きラクボックスなる装備が付いており、荷物を固定して置ける。ここは好き好きだし、最大の違いはぶっちゃけキュートさ。

 ワゴンR スマイルも丸目で窓小さめで可愛いが、より丸っこくて2トーンボディーがワーゲンバスっぽのがキャンバス。

 確かにダイハツの代わりは、100%ではないにせよ、ある。とはいえ、切磋琢磨する競合相手がいないのはユーザーからみても不幸だ。つくづくダイハツの適切な再生を願う次第である。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • トピックスのアクセスランキング

  1. 1

    ふざけるな、石破政権もサラリーマン増税かよ!潰れたはずの「退職金課税」政府税調で再浮上

  2. 2

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  3. 3

    玉木雄一郎氏に「包囲網」…“グラドル不倫”騒動収まらず、自民・立憲・財務省で思惑一致

  4. 4

    飛び交う玉木雄一郎代表「12月辞任説」…国民民主党ついに倫理委員会で“グラドル不倫”調査

  5. 5

    ダイエー、イトーヨーカ堂…日本の小売りを支えた都市型総合スーパーが衰退した理由

  1. 6

    裏金自民「企業・団体献金の禁止」そっちのけで「個人献金の税制優遇」だあ?カネ集めのためなら“斬新策”次々

  2. 7

    斎藤元彦知事「百条委」の欠席理由「全国知事会」はそんなに重要? 自身の過去出席率は4割弱

  3. 8

    自民裏金議員12人が“ドサクサ復権”の仰天! 党役職抜擢の全員が政倫審での弁明は拒否した面々

  4. 9

    物議醸す石破首相の「座ったまま握手」は外務省の大失態! 外交デビューにミソ、元国際情報局長バッサリ

  5. 10

    1ドル=160円台の“悪夢”再来か…植田日銀「利上げは情勢次第」発言でズルズル円安に

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動