株価暴落の今だから注目したい「底打ち」の見分け方と対策…投資のプロが解説
暴落の最後に出現する幻の大底サインとは
株価の暴落局面、セリングクライマックスの見極めに使いたいのが、TOPIX(東証株価指数)の1日の売買代金と東証プライム市場の時価総額とのバランスです。TOPIXは主に東証プライム市場全体の銘柄の時価総額から計算されます。この中には日経平均株価に含まれる225銘柄も当然含まれます。全面安の状況下では、輸出産業やハイテクといった個別の業種ではなく全銘柄が売られますので、まさに歴史的な暴落の大底を判定するのにはもってこいです。
8月1日時点で、TOPIXの売買代金は1日で6兆832億円。歴史上稀に見る暴落の最後はどうなるかと言いますと、セリングクライマックスのまさにその日、1日のTOPIXの売買代金が、東証プライムの時価総額の1%を超えます。これは普段だったらまず起こり得ない現象で、ゲームでいえば、幻のポケモンに遭遇するよりもはるかに出現頻度が低いです。ですが、4年前に同じことが起こっているのです。
■2020年のコロナショックではセリング・クライマックスのサインが点灯
2020年の新型コロナで暴落した世界の株式市場、TOPIXも漏れなくその煽りを受けて2月から3月の中旬までに約1ヶ月で34%も下落しました。本記事で紹介している大底サインが出たのは3月13日で、当日のTOPIXの売買代金は4兆8923億円。それに対して当日の東証一部、今のプライム市場の時価総額は約470兆円でした。時価総額470兆円の1%は4.7兆円ですから、この日付けた1日の売買高4.8兆円は1%を超えています。1%といってもピンとこないかもしれませんが、市場全体の時価総額の1%にあたる金額が1日で売買されるというのは基本的にはありえないことです。結果的に、セリング・クライマックスのサインが点灯した(3月13日)の2営業日の3月17日が大底でしたが、最安値はほぼ変わらずニアピンでした。
調べられる方は当日の日経平均株価の日足チャートを見てみてください。これが4年前に起きた歴史的な暴落です。これが4年前に起きた歴史的な暴落です。
ただ、どの暴落局面もそうですが「あそこが底だったね」とわかるのはずっと後です。簡単な事例で言えば、一旦下落して底練りした後、明確に大きな陽線が出て反発しても不透明感からまた下げる。また反発した時点で、その時の安値が前の下落の安値よりも上回っていれば、その後は徐々に下値が切り上がっていく。そういう形が見えてきてやっと底打ちを少しずつ確信できるようになります。
下落中に買って含み損が拡大するケースも当然ありますから、地合い最悪の暴落買いでは、常に自分が間違っているかもしれない、まだまだ下がるかもしれないと考えて、買い下がりをしていくシナリオと、常に余力を残した資金管理は忘れないようにしてください。
(児玉一希=投資家/投資YouTubeチャンネル「Trade Labo」主宰)
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児玉氏は初心者向けの投資のコツもおしえている。●関連記事【こちらも読む】元プロ野球選手・新垣渚氏が引退後から始めた投資術を語る「いま順調なのはリート」…も参考になるだろう。