南海電鉄が「通天閣」の株式7割を取得へ…浮上する建て替え論と実現性の壁
「あべのハルカス」でもなければ、大規模再開発で林立しつつあるJR大阪駅周辺の超高層ビル群でもない。生粋のナニワっ子からすると、大阪のランドマークといえば太閤ゆかりの「大阪城」であり、新世界にそびえ立つ「通天閣」ではないか。
その通天閣の運営会社「通天閣観光」が関西私鉄大手、南海電気鉄道の傘下に入る。同社が進める「グレーターなんば」構想──主要ターミナルであるなんば(難波)駅から新今宮駅周辺を再開発するプロジェクト──の核施設として、誘客の目玉にする方針だが、民鉄業界関係者らの間では早くも「建て替えも視野に入れているのでは」といった観測も飛び交う。
通天閣観光は1943年に火災で大破した通天閣の再興を目指して地元有志らの出資で55年に設立された会社だ。今回、南海電鉄は「観光」の大株主でもある高井隆光社長らから発行済み株式の70.8%(議決権ベース)を買い取る。2024年度中に臨時株主総会を開き、他の株主の承認を得たい考えだ。
取得価格は非公開だが、「観光」の純資産は今年3月末時点で42.29億円。仮に3割のプレミアムを乗せて、その約7割を引き取ったとすると40億円弱という計算になる。