「桃源亭へようこそ」陳舜臣著
「桃源亭へようこそ」陳舜臣著
神戸で中華料理店「桃源亭」を営む料理人の陶展文は、貿易会社の支店長ハミルトンの家で催されるパーティーの出張料理を依頼された。神戸の夜景を見下ろす広い邸宅で行われたパーティーも終わりに近づき、仕事を終えた陶が、使用人の部屋で野球中継を聞いていると、庭が騒がしくなる。庭の片隅でハミルトンが死んでいたらしい。
遺体の首に巻きついていた縄は引っ張ればすぐに切れるような代物で凶器ではないようだ。警察によって招待客や陶らスタッフの取り調べが始まる。個別の取り調べが始まるまで、応接間で居合わせた人々の話を聞いていた陶はあることに気づく。(「くたびれた縄」)
神戸を舞台に華僑探偵の活躍を描く亡き巨匠の傑作ミステリー集。
(徳間書店 990円)