故障懸念は杞憂 松井裕樹のフォーム「問題なし」と専門家
「ヒジの高さは見た目の高さでなく、両肩を結んだ線の延長線上よりも上か下かで判断します。上手投げの投手も下手投げの投手も、実はこの3点がほぼ一直線になります。松井選手の高校時代のフォームを見る限り、リリース時には両肩の延長線上に左ヒジがあり、問題ないとみます。
そして、ヒジの高さを決めるのは、肩本来の柔らかさだけではなく、肩甲骨の柔らかさです。水泳選手が入水前によくやるストレッチで、腕を伸ばしたまま頭上で手のひらを合わせますが、両ヒジが頭の後ろに入ります。あの肩甲骨の柔らかさが重要なのです。そして、肩甲骨が硬い投手は肩やヒジを故障する可能性が高い。松井投手は肩甲骨が硬いような動きには見えない。ヒジに負担があまり残らないのでしょう。
左利きの場合、ボールリリースの直前に左肩、左ヒジを結んだ線は一塁方向に向きますが、この状態で前腕やボールを後方に残せば残すほど、左ヒジ内側の靭帯に負担がかかる。彼の場合は早い段階でヒジが捕手側を向いて、ヒジの内側には負担がかかっていないようです。例えば、松坂投手(現メッツ)は150キロ以上の剛速球を投げるため、ヒジを後方に極力残すフォームがたたって、ヒジに負担がかかり最終的に手術をしました。ヒジを後方でためればためるほど球威は増すのでそうしたのでしょう。