黒田とイチロー去り マー君に「ヤ軍の重圧心配」と解説者懸念
田中を取り巻く環境の激変も不安材料のひとつだ。昨季はイチロー(41)と黒田が同僚だった。同じ投手の黒田にはキャンプ中からシーズン中の調整法やメジャーでのしきたりをアドバイスされるなど、何かとサポートを受けた。黒田の広島復帰が決まった際に田中は「本当にたくさんのことを教えてもらい、助けていただいた。メジャー1年目で初めてのことばかりの中、黒田さんがいなければもっと苦労していたと思う」と感謝を口にしている。今季はその黒田のサポートは得られず、頼る人は誰もいない。
■右肘靭帯の断絶リスクも
ただでさえ、ニューヨークの地元メディアとの関係は良好ではない。田中は米国人記者の質問にもぶっきらぼうというか、木で鼻をくくったような答え方をすることが多い。リップサービスはまずない。マリナーズ時代からメディアに無愛想なことで知られるイチローですらニューヨークの記者にはニコニコ顔で応じているだけに、実績のない田中の非協力的な姿勢を快く思わない米国人記者は少なくない。
それでも結果を残していれば問題はないが、不甲斐ない投球が続けば地元メディアはもちろん、ニューヨークのファンからもバッシングを浴びるのは容易に想像がつく。昨季は故障で離脱したとはいえ、デビュー戦から16戦連続クオリティースタート(QS=6回以上を投げて3自責点以内)。大型契約(7年総額1億5500万ドル=約183億円)に見合う働きを見せたものの、今季、期待を裏切ればニューヨークのメディア、ファンは黙っていない。シビアなメディアとの「緩衝材」でもあった年上のイチロー、黒田がチームを去った今季、置かれた状況は厳しくなる。