「男気ではなくクールな決断」 高知入団の藤川を権藤博氏評価
これは「男気」とは違う気がしている。
米大リーグのレンジャーズを自由契約になった藤川球児(34)が、四国アイランドリーグの高知へ入団。阪神から獲得の意思を示されながら、古巣ではなく、故郷の独立リーグを選んだ。
確かに、金銭面では大差があるだろう。独立リーグの選手はその多くが月給10万円程度でプレーしている。阪神に戻っていれば、50倍か100倍か、あるいはそれ以上の条件を手にしたかもしれない。それを蹴って、故郷へ恩返しをしたいというなら、今年の野球界の流行語になりそうな「男気」に当てはまるが、私はそれとは正反対の「クール」な決断を藤川はしたのだと思う。
彼が12年オフに海外FA権を行使してカブスに入団した際、正直、苦労するぞと見ていた。その2年くらい前から、「火の玉」と称された自慢の直球で空振りが取れなくなっていたのが気になったのだ。150キロ超とスピードは出ているのに、バットに当てられ、ファウルにされることが増えた。気になってフォームを見ると、足と手と上半身が一緒になって、打者に向かっていく。一見すると迫力があるのだが、いかにも150キロを投げますよというフォーム。これでは、打者はタイミングが取りやすい。