“ウマミの維持”が生んだFIFA汚職 MLB薬物禍に酷似の指摘

公開日: 更新日:

 状況が一変したのは2004年1月のことである。当時のジョージ・ブッシュ大統領が一般教書演説を行った際にメジャーリーグにおける薬物使用の問題を批判したことで、「メジャーリーグの薬物使用」はもはや球界の内部で処理できる問題ではなくなり、社会問題化したのである。

 こうした外部からの圧力は「メジャーリーグは薬物に甘い」という批判を引き起こし、「球界の最高峰」というブランドの価値は失墜するかに見えた。その結果、放映権収入や観客の減少といった興行面での不利益の発生を危惧した機構や球団経営者は従来の態度を翻し、薬物の規制を積極的に進めたのだった。

 今回のブラッター氏も2004年当時のメジャーリーグも、いわば「ブランド価値の維持」という大義名分と、その背後にある「ブランド価値がもたらすウマミの維持」という現実的な問題の前に態度の変更を余儀なくされたという点で、極めて類似する構造を持っている。そして、収益の減少の危険性に直面するまで「悪事を悪いと認めない」という姿も、著しく似ているのである。

(アメリカ野球愛好会副代表、法大講師・鈴村裕輔)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    石橋貴明のセクハラに芸能界のドンが一喝の過去…フジも「みなさんのおかげです」“保毛尾田保毛男”で一緒に悪ノリ

  2. 2

    清原果耶ついにスランプ脱出なるか? 坂口健太郎と“TBS火10”で再タッグ、「おかえりモネ」以来の共演に期待

  3. 3

    だから桑田真澄さんは伝説的な存在だった。PL学園の野球部員は授業中に寝るはずなのに…

  4. 4

    PL学園で僕が直面した壮絶すぎる「鉄の掟」…部屋では常に正座で笑顔も禁止、身も心も休まらず

  5. 5

    「ニュース7」畠山衣美アナに既婚者"略奪不倫"報道…NHKはなぜ不倫スキャンダルが多いのか

  1. 6

    「とんねるず」石橋貴明に“セクハラ”発覚の裏で…相方の木梨憲武からの壮絶“パワハラ”を後輩芸人が暴露

  2. 7

    フジ火9「人事の人見」は大ブーメラン?地上波単独初主演Travis Japan松田元太の“黒歴史”になる恐れ

  3. 8

    ドジャース大谷 今季中の投手復帰は「幻」の気配…ブルペン調整が遅々として進まない本当の理由

  4. 9

    打撃絶不調・坂本勇人を「魚雷バット」が救う? 恩師の巨人元打撃コーチが重症度、治療法を指摘

  5. 10

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した