権藤氏が苦言 「ストライクゾーンの変化がセの大混戦招いた」
それが、だ。交流戦に入った頃から、様子がおかしくなった。際どいボールに球審の手が上がらない。4月にストライクだったコースがことごとくボールと判定され、投手がマウンド上で汲々とするようになった。
6月21日の中日戦、3-2の八回に和田にホームランを浴びた巨人のマシソンなどは象徴的だ。1ボールから投げた直球は、2カ月前だったら間違いなくストライク。それがボールとされ、これ以上、カウントを悪くしたくないと苦し紛れに投げた甘い真っすぐをバックスクリーンに運ばれた。
投手も打者も、ようやく広くなったストライクゾーンに慣れてきたところで、それが急に狭くなる。選手が混乱するのは当たり前だ。少々のボール球でも初球からどんどん振ってくる打者が多いパ・リーグは影響が少なくとも、どこも決め手に欠くセ・リーグは突然のゾーンの変化でますます波に乗り切れなくなる。
私がストライクゾーンを利用した時間短縮策を歓迎するのは、シーズンを通して不変であるのが前提だ。演出家や脚本家の都合でコロコロと変わったら、これは野球にならない。セは史上まれに見る混戦模様。ゾーンの変化に、このダンゴ状態を続けさせようという意図がないと信じたいが……。
(権藤博/野球評論家)