智弁和歌山で甲子園 ヤクルト武内が語る高嶋監督の“鬼指導”
「ただ怖いというしかなかった」
智弁和歌山高の2年夏に全国制覇を果たすなど、3度の甲子園経験があるヤクルト武内晋一(31)がこう振り返るのは高嶋仁監督(69)のことだ。
「もうええわ!」
春のセンバツ出場が決まり、遠征初日の練習。高嶋監督はノックの最中、ボールが入ったカゴにバットを叩きつけた。
「バーン!」という大きな音とともに、バットが真っ二つに割れた。グラウンドに、一瞬でピンとした緊張感が張り詰めた。
智弁和歌山は打撃のチームというイメージがあるが、ノックの技術に定評がある名伯楽は、守備や走塁には特に厳しかったという。
「バットを折るのは、初日の1回だけですが、チームを引き締めようという意図があったのだと思います。普段の練習でも、ノックは厳しかったですね。これは僕に限らず、ミスをすると、監督に呼ばれて、ボールを延々とぶつけられたこともあります(苦笑い)。10分くらいの間に、約2箱分くらいだから相当な数ですよね。その間は生きた心地がしませんでしたが、守備や走塁面は相当鍛えられました」