“神の足”の異名 巨人・鈴木尚の原点は郵便配達のアルバイト
「高校野球の思い出ですか? バイトですね」
開口一番、巨人の鈴木尚広(37)がこう言った。アルバイト?
「そう、アルバイト。そりゃあ、練習はきつかったし、先輩との上下関係も厳しかったですよ。でも、それ以上につらくて大変で思い出深いのが、郵便配達のバイトです」
鈴木尚が在籍した福島県立相馬高校の野球部には、一風変わった約束事があった。当時の遠藤太監督(現いわき総合高野球部長)がこんな方針を掲げていたのだ。
「なるべく親に負担をかけるな。自分で使う物は自分で買う。せめて、試合用のユニホームくらいは自分自身で稼いだお金で買いなさい」
鈴木尚が言う。
「それで、選手にはバイトが義務付けられていたんです。やったのは郵便配達。毎年、お正月を挟んで2週間、大きな配達袋を自転車に積んで、担当区域を疾走していました(笑い)。1袋20キロから30キロはあったんじゃないですかね。年賀状のシーズンですから、それを多いときには5袋は配達する。その間は練習は休みでしたが、かなりきつい重労働。これが練習代わりでした」