4冠射程ヤクルト山田の抑え方 権藤博氏が“奥の手”語る
コラム【権藤博の流儀】
山田哲人(23)の勢いが止まらない。
いや、勢いなどと書いたら失礼だ。100試合以上を消化して本塁打数でトップに立ち、打率と打点は僅差の2位。3冠王を射程圏内とし、そのうえ盗塁王もひた走る。4冠なら史上初。3割、30本、30盗塁のトリプルスリーはほぼ確実なものにするのだから、実力以外の何物でもない。
普通、これだけ打つと投手の攻め方は厳しくなる。ライバル球団の中には、「当てたらゴメンナサイや。徹底的に内角にいけ!」と指示する監督や投手コーチもいよう。ただ、山田は内角球を実にうまくさばく。インコースは凡打と長打が紙一重。ちょっとでも甘くなればスタンドに持っていかれるという恐怖心が投手の腕を縮こまらせ、コースが甘くなる。それを痛打されると、内角攻めも徹底できない。
いきおいバッテリーは「追っかけリード」になる。内角を打たれたら外角、外角をやられたらやっぱり内角。これを繰り返すから、的を絞りやすい。ますます山田の打棒が冴えるという好循環、バッテリーからすれば悪循環が生まれている。