SB工藤監督「和田特別扱い発言」の真意を権藤博氏が解説
“横一線? レギュラー白紙? またまた、調子のいいことを言っちゃって。そんな簡単なものじゃないでしょうが”
監督の方便、外交辞令はすぐさま見抜かれ、そう言って舌打ち交じりに毒づかれるのが関の山。白々しい言葉で踊るほど選手は単純ではない。
だから、工藤監督の正直な言葉はいっそ清々しかった。選手は自分の立ち位置に敏感だ。和田が復帰すれば、方便など弄さずとも、先発ローテーションの4番目以下の投手はイヤでも危機感を覚えるし、先発からあぶれた投手とポジションを争う中継ぎ陣もふんどしを締め直さざるを得ない。これで十分なのだ。
私は、「競争なきところに繁栄なし」を持論としているが、組織を活性化するのに余計な言葉はいらない。「期待しているぞ」「チャンスはあるぞ」と選手のご機嫌を取るのは誰だってできる。安易な手法に頼らず、いかにして選手のやる気を引き出し、競争意識を高めてチーム力を上げるか、監督はそういうことに頭をひねるべきである。
(野球評論家)