「谷繁の兼任が中途半端に」 権藤博氏が今季低迷の中日を斬る
コラム【権藤博の流儀】
彼が選手兼任監督に就任した2年前から、私は本人と顔を合わすたびにこう言っていた。
「中日が勝つも負けるも『捕手谷繁』次第だよ。お前が100試合以上スタメンマスクをかぶればAクラス、それができなければBクラス。中日投手陣にはまだ上位を狙える力がある。ただし、それを生かすのは、『監督谷繁』ではなく、『捕手谷繁』だぞ」
中日の谷繁選手兼任監督(44)に、余計なお世話を承知でしつこく言ったのには理由がある。監督と捕手はどちらも大きな責任を背負うポジション。その両方をこなそうと背伸びをしたら間違いなく、どっちか、あるいは両方にひずみが出る、と思ったのだ。
相手チームから見たとき、不気味で怖いのはどっちか。これは絶対的に新人監督の谷繁より、現役ナンバーワンの実績と経験を持つ捕手の谷繁の方だ。だったら、4年契約を半分に分け、最初の2年間は捕手に軸足を置いて若い投手陣をリードしながら育て、3年目からその投手力を武器にして本格的に監督業に乗り出すのがいい。兼任監督として結果を出すには、これが最も確実な方法だと思っていた。