「信憑性高い」 東京五輪の不正招致疑惑に元JOC職員が言及
■さらなる“余罪”が出る可能性も
元JOC職員で、長野五輪招致活動に関わったスポーツコンサルタントの春日良一氏がこう言う。
「報道の信憑性はかなり高いと思います。日本はこれまで正攻法にこだわり、政治的な駆け引きやロビー活動が足りなかった。その結果、名古屋、大阪、前回の東京とあまりに戦略が稚拙だったため、相手にもされず、惨憺たる結果を招いてきました。その反省からオールジャパン体制で臨むと聞いた時、そういうこともあり得るとは思っていました。安倍晋三首相がアラブ諸国を回ったり、アフリカへの支援事業を打ち出したり、森喜朗元首相がロシアのプーチン大統領を訪問したのも、政治的本気度のあらわれです」
その上でこう続ける。
「キレイ事だけで済む世界ではありません。票を持っている人物が組織委員会に金品を要求してきたら、ムゲには断れません。渡航のためのファーストクラスのチケットや子供の留学の面倒まで頼んでくるケースもあります。あくまで目的は招致です。国際陸連からイスタンブールが協賛金を支払わなかったという情報が入れば、むしろ渡さない手はない。確実に1票が入るわけですから。長野五輪の際は、20億円の招致費用を使って批判にさらされました。それが今回、公になっているだけで89億円です。実際、こういう話が出てくると、あらためて莫大な金額を使ったんだなと思います」
13年には、首相自らが招致演説で福島第1原発の汚染水を「アンダーコントロール」と嘘をついて招致した東京五輪。そんな“前科”があるだけに、次から次へ“余罪”が出てきてもおかしくない。