八角信芳理事長にズバリ聞く「協会」「白鵬」「貴乃花」
角界は今、活気づいている。初場所で大関琴奨菊(32)が日本出身力士としては59場所ぶりに優勝、先場所も同じく大関稀勢の里(29)が開幕10連勝で土俵を盛り上げた。そんな中、相撲界の舵取りを担うのが八角信芳理事長(52=元横綱北勝海)だ。先月の理事長選で貴乃花親方(43=元横綱)と壮絶なバトルを繰り広げたのは周知の通り。その貴乃花親方を巡業部長に据え、執行部から外したのは遺恨なのか。1月に解雇した顧問は、先の理事長選でも暗躍したといわれる。パチンコメーカーの代理店関係者から裏金をもらっていた顧問に、損害賠償請求をするつもりはないか。洗いざらい聞いた。
■白鵬には立派な振る舞いをしてもらいたい
――理事長として初場所の琴奨菊の優勝、先場所の稀勢の里の快進撃をどう見ましたか。
「それが土俵の充実ということになると思いますね。わたしが広報部に来たときはちょうど不祥事(野球賭博と八百長事件)があって、お客さんが減っていった。その中でどうしたらお客さんに来ていただけるか。ツイッターとか、ラインとか、いろいろなことをしてお客さんを国技館に呼んでも、相撲を見て、すごいなという部分がなければ、せっかく来てくれたお客さんも結局、一度限りになってしまう。ですから、もう一度来たいなと思ってもらうためにも土俵の充実、いい相撲を見せることが一番大切だと思います」
――琴奨菊も稀勢の里も壁があるというもどかしさは感じませんか。
「もちろん、ありますよ。稀勢の里についていえば、1勝というのがいかに大事か、その1勝のために稽古をしているわけですから。ということは稽古が足りないということ。例えば(全勝で迎えた春場所11日目、1敗で追う)白鵬との一戦。勝負どころのあそこで力を出さないと。そのためには強い人と稽古をする。白鵬と稽古をするのが一番、身になるわけですから」
――その白鵬について、理事長が今、思うところはありますか。
「これだけ優勝している横綱ですので、相撲だけでなく、巡業等での振る舞いは全力士が見ているわけです。ですから立派な振る舞いをしてもらいたいと思いますね。よく言われるのは懸賞金の取り方ですけれど、そういうことで変なふうに言われるのなら、普通に取ればいいなとは思いますけどね」
――白鵬の取り口が年々、汚くなっているという指摘があるのは、力が衰えているからでしょうか。
「かち上げを指摘されることがありますけれども、かち上げをされたら、逆にやり返せばいいとは思いますよ。わたしだったら、それくらいの気持ちは持つと思います。やられたら、突っ張っていくとかね。二十歳のころと、今とは違うと思いますけれども、実際に先場所は14勝1敗で優勝しているわけですから、力はまだあると思います。ダメ押しに関しては、これは稽古場から直さなきゃだめですね。稽古場で恐らく若い衆相手に、力を出さなかった相手に対して、もっと力を出せという意味でダメ押ししていると思うんです。稽古場の癖が出ている気がします。ただ、本場所でのダメ押しは土俵下にお客さんがいてケガにつながりますから、やめなければいけません」