巨人の闇に迫った記者語る“原氏1億円恐喝事件”取材秘話
――不祥事の連鎖を招いている根源は、1978年の江川事件からと指摘されています。
「通底しているところはあります。この事件以来、巨人は選手や監督の不祥事に直面すると、法律解釈を徹底的に駆使した理論武装によって全てに対処し、ダメージを最小限にとどめてきたと感じるところがあります。コンプライアンスを旗印に組織を統治している司令塔(コンプラ軍団)が、まるで天才外科医のブラック・ジャックのように表面に表れた病巣を切除します。しかし、根本的に治療していないため、病気の根源が巨人の内部に残り続け、容体が悪化してきた部分があるのです」
――江川事件の事後処理から渡辺主筆(恒雄=読売新聞グループ本社代表取締役)が球団経営に携わったことが大きいと分析されていますね。
「当初本人は野球の基本的なルールすら知らず、(打者走者が)どっちに走るのかも分からない状態で球団に関わって、まず野球協約を徹底的に研究するという、法的解釈から入ったといわれています。そこが今に通じるところでもあります。かつて選手会と揉めた時、(労組日本プロ野球選手会)古田会長に『たかが選手が』と言ったことが取り沙汰されましたが、その後に『一選手とオーナーが対等に話をする協約上の根拠はひとつもない』と続けた。重きを置いてきたのは、まさしくそういうところなんです」