著者のコラム一覧
元川悦子サッカージャーナリスト

1967年7月14日生まれ。長野県松本市出身。業界紙、夕刊紙を経て94年にフリーランス。著作に「U―22」「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年 (SJ sports)」「「いじらない」育て方~親とコーチが語る遠藤保仁」「僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」など。

アウクスブルク宇佐美貴史 「貪欲にボジション奪取を」

公開日: 更新日:

監督交代で光明が

 昨年12月中旬に指揮官が代わったアウクスブルク。バウム暫定監督体制初戦となった同月17日のボルシアMG戦で、宇佐美貴史は今季初先発を飾った。ドイツ代表MFクラマーを激しいタックルで負傷させるシーンもあったが、守備面で献身的な姿勢を披露。自主練でフィジカル面を強化した成果を見せた。ボルシアMG戦の勝利に貢献した宇佐美は、昨年末に「暫定」の2文字が取れたバウム監督の下で迎えるブンデスリーガ後半戦に向け、何を思っているのか?

■自分の色を1試合で5回出す

「ボルシアMG戦では、守備の部分では1回やられましたけど、それ以外はほぼ崩されることもなかった。ただ攻撃の質は低かったので、そこをどう発揮していくか。もっと《自分にしかないもの》をチームに浸透させていくことが大事ですね。バウム監督は、対戦相手のやり方やシステムによって、攻撃陣も守備陣もフォーメーションを変えたりする。戦術も多いし、細かい監督という印象があります。ドイツの場合、上位6~7チームはボールを保持するスタイルでやれますけど、それ以外は守備で走らされる。仕掛けられるチャンスは1試合の中で多くて5回。その5回の中で《自分の色を出す》ことを徹底できれば、監督にとっても使いやすい選手になるのかなと思います」と、宇佐美は自分のやるべきことを明確に見据えている。

 その成果は17年に入って着実に出始めている。

 7日のオランダ1部AZとの練習試合に左MFで先発した宇佐美は、いきなりゴールを決めて存在感をアピール。前監督に戦力外同然の扱いを受けたリーグ前半戦の鬱憤を晴らすべく、逆襲の予感を漂わせている。

「クリスマス休暇(ドイツは昨年12月22日から1月20日までリーグ中断)はみんなベッタリ休んでくるでしょうから、自分にとってはかなりのチャンス。俺は正直、オフなんていらないと思ったくらいなんで。ホントに貪欲にポジションを奪っていかないと。下積み作業はリーグ前半戦の半年で十分。その思いを後半戦の試合にぶつけたい」と宇佐美は語気を強めた。

■「もう少し待ってくれと言いたい」

 21日のホッフェンハイム戦から再開される後半戦で実績を残せれば、日本代表復帰の道も開けてくる。3月23日には、ロシアW杯最終予選の後半戦初戦となるUAE戦がある。そこに照準を合わせていくことになる。

「やっぱりクラブで試合に出ていないと、代表には入れない。ブンデスで試合に出られれば成長できるし、そうなって初めて《本当に日本代表に必要な選手になれた》ってことになる。日本の人たちは『宇佐美、何してんねん』って思ってるだろうけど、俺は困難に直面しても諦めて腐るようなタイプじゃない。もう少し待っててくれと言いたい。17年は応援してくれる人に恩返しする意味でも、自分らしいパフォーマンスを見せたいです」

 かつてないほど前向きな状態でサッカーに邁進している宇佐美。怪物といわれた男のリベンジはこれからだ――。

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