衝撃デビューも遠い過去 「モンゴルの怪物」逸ノ城の凋落
新入幕の2014年9月場所を忘れられないファンは多いだろう。
200キロ近い体重で身軽に動き回り、稀勢の里と豪栄道の2大関を破ると、さらに横綱鶴竜をも倒す大金星。1914年の両国(元関脇)以来となる、100年ぶりの新入幕初優勝とはならなかったものの、13勝2敗で終盤まで優勝争いを演じた。
翌11月場所は東前頭10枚目から、一気に関脇に昇進。当時は湊親方(元幕内湊富士)も大ハシャギし、女将が美人だ何だのとメディアも群がった。そんなフィーバーも本人の凋落とともに過ぎ去り、いまやデカいだけのやられ役として定着してしまった。
ある親方は「原因は稽古不足です」と言う。
「逸ノ城は我慢強くない。ちょっとしんどいと、すぐに休んでしまう。稽古中も疲れてくると辛抱せず、簡単に土俵を割ってしまう。巡業では土俵に上がらないことも多く、同郷の照ノ富士や白鵬にも呆れられています。ただでさえ、湊部屋は逸ノ城以外の幕内がおらず、稽古相手がいない。若手と稽古をしたところで、体格差で圧倒できる相手ばかりだからね。本来ならば積極的に出稽古に赴くべきだが、それすらもあまり熱心ではない」