著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大准教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部准教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

中日にも在籍…「サイ・ヤング賞」初代受賞投手の壮絶人生

公開日: 更新日:

 ドラゴンズを退団したニューカムは65年に破産を経験し、現役中から始まっていたアルコール依存症が深刻になるなど、一時は日々の生活を送ることさえ難しくなっていた。

 が、70年にドジャースが地域社会担当部長に迎えると、アルコール依存症を克服した経験から80年にドジャース薬物アルコール啓蒙プログラムを開始。2017年まで球団の一員として活動を続けた。

 実働10年で通算149勝90敗、防御率3・56と、ニューカムの成績は「大リーグ最初のサイ・ヤング賞受賞者」という名声に比べれば物足りない。

「私は自分の体に十分な注意を払っていませんでした。そして、アルコールによって私の選手生命は6、7年は縮まってしまいましたし、入ってしかるべき野球殿堂にも入れませんでした」というニューカムの回想は、薬物問題などを抱える現在の大リーグにおいて大きな意味を持っている。

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