阪神株主総会で露呈 野球素人の“お偉方”が肩で風切る不安
実際、昨年の金本監督の“解任劇”は親会社主導で行われた。
金本続投を決めていた球団は、10月10日までに谷本修副社長兼球団本部長が宮崎へ足を運び、当時の矢野二軍監督に一軍ヘッドコーチ就任を打診。他のコーチ陣にも新ポストを提示したが、あろうことか同じ日に藤原オーナーの命を受けた揚塩社長が最下位に沈んだ金本監督に対し、19年、20年の2年間の契約を残しながら、“辞任勧告”をしたのだ。球団の副社長すら、まったく知らされていなかったというとんでもない舞台裏だった。
かねて阪神に対しては、外部の血を注入すべきとの意見がある。以前、元球団社長の野崎勝義氏は本紙のインタビューで、「外部から優秀な人材を入れ、能力のない人は据え置く。フロント内部も競争する組織でなければ、コンスタントに勝てるチームにはならないと思うのです」と話している。
たとえばパの首位を走る楽天は元選手の石井一久氏が取締役兼GMを務め、同3位の日本ハムの吉村浩取締役兼GMは外部出身だ。他球団の役員には、親会社からの出向者であっても他の会社からヘッドハントされた優秀な人材が少なくない。巨人もつい先日、グループ会社とはいえ、日本テレビ出身でNPBエンタープライズでも社長を務めた今村司社長が就任した。広島のような松田元オーナーを中心とする「家族経営」で結果を残せればいいが、阪神は人気と資金力があるのになかなか優勝できない。
それでもなお、野球は素人のお偉いさんが肩で風を切る阪神。株主じゃなくとも先行きが不安になってくる。