錦織圭を育てた盛田ファンド“脱アマチュア主義”の合理性
今年のウィンブルドンも3強で明け暮れた。それにしても錦織圭とロジャー・フェデラーの準々決勝は見応えがあった。錦織が得意のリターンで先手を奪うと、フェデラーが猛然と仕掛けた。いきなり12連続ポイントに、度肝を抜かれたファンも多いだろう。第2セットの獲得ポイントはフェデラー26に対し、錦織は8だった。
この日、3強に挑戦した3人はすべて第1セット善戦で終わっている。フェデラーは試合前に錦織のリターン能力、バックハンドの技術とともに精神力の強さを挙げた。錦織自身「負けず嫌い」と精神力への自信を口にしたことがあるのだが、そんな選手でも、フェデラーを筆頭とする3強の前では正常心を忘れ、ミスを引きずり出される。
試合はセンターコートで行われ、家族席に盛田正明氏の姿があった。錦織がテニス人生で最高の恩人とする育ての親は、ソニー創業者の盛田昭夫氏の弟、ソニー生命保険社長を務めた実業家だ。根っからのテニス愛好家で知られ、日本テニス協会の会長も務めた。
盛田氏は、日本から世界に通用するテニス選手を育てようと、友人のマーク・マコーマックが創業したIMGの協力を得て育成ファンドを立ち上げ、フロリダに若き精鋭を送り込んできた。錦織が13歳から盛田基金でフロリダに渡ったことは有名で、今回は錦織の他にも西岡良仁、内山靖崇とファンド育ちが本戦入り、ジュニアでも望月慎太郎が勝ち進んでいる。