東京五輪延期で“公約”を守る皮肉…開催中止ならどうなる?
さらに、新型コロナウイルスの感染者が世界に広がり、五輪の1年延期を余儀なくされると、「完全な形」での大会実施にこだわったが、これも今回の簡素化により方針転換。五輪の1年延期による追加費用は5000億円とも1兆円ともいわれ、コロナ禍により、仕方なく「コンパクト」になるという皮肉な結果となった。
■ドタバタを教訓に
皮肉といえば、まだ先がある。スポーツライターの津田俊樹氏(国士舘大政経学部非常勤講師)が言う。
「莫大な経費がかかる五輪の開催には、高いリスクをはらんでいることを世界は東京の現実を見て知ったでしょう。史上初の延期により、五輪開催年を初年とする4年周期のオリンピアードにもずれが生じた。今回のコロナ禍でこれまでの五輪運動が変わると思う。世界のコロナ感染の現状を見れば、私は来年の東京五輪は中止、半年後の北京冬季五輪の開催も厳しいとみている。1年延期だけでも世界に与えたインパクトは大きいが、来年の五輪の中止や北京大会の延期ということにでもなれば、24年パリ、28年ロス五輪、それ以降の大会も、開閉会式だけでなく、競技数や参加者を絞るなど簡素なものになっていくでしょう」
苦悩する東京を教訓に肥大化した五輪のあり方が変わるなら、東京五輪は「レガシー」になるという、これまた皮肉なことになるかもしれない。