ロッテ大量感染でパンデミック!それでも試合優先の姑息
あくまで「保健所の判断」
この日、ロッテの大量感染を受けて開かれた臨時実行委員会後、NPBの井原事務局長は、ロッテが試合を行った理由について、「保健所のご判断に従った」と説明。クラスター認定されるかどうかが試合の開催可否に影響するかどうかについても、あくまで保健所の判断だという。
一つの組織で10人以上の感染者が出ても、クラスターでない、というのも合点がいかないが、いずれにせよ、NPBや12球団は「行政からストップがかからないから試合をやっても問題ない」という姿勢で、試合をやることが何よりの優先事項だと考えていると言っても過言ではない。
■一定の線引きが必要
新潟大学大学院医歯学総合研究科の特任教授・田中純太氏(日本呼吸器学会認定呼吸器専門医)はこう言う。
「今回のロッテの11人の感染者については、チームスポーツである以上、練習や試合における予防対策にも限界があることから、とにかくまずは感染予防対策の基本を再確認していただくこと、COVID―19(コロナ)下で試合が遂行できていることによる『気の緩み』には気をつけていただくことが大切です。ガイドラインに試合を中止するかどうかの規定がない点については、いまだ確たる根拠をもって数値化できるような基準設定は難しいかもしれませんが、プロ野球とJリーグには感染症の大家がこれまでの対策協議にも参加していることから、今回のような事例を受けて、今後必要な規定や数値基準が設けられる可能性はあります」
一定の「線引き」は必要だということだろう。
そもそも、プロ野球はコロナの感染拡大によって、何度も開幕を延期。3月に阪神の藤浪ら3人の感染が発覚した際には、12球団から「あと1人でも感染者が出たら公式戦は中止にせざるを得ない」という声が出るなど、何かとビクビクしていた。が、シーズンが開幕するや、感染者が何人出ようが、試合を強行し続け、今後は観客動員の制限(現行は収容人数の最大50%)を上方修正しようとしている。
プロ野球の取り組みを「来年の東京五輪へのモデルケースに」などと立派なことを言っているが、50人に1人もの高確率で感染者を出すようなプロ野球のルールを援用すれば、それこそ世界中から1万人規模のアスリートが集結する東京五輪でパンデミックが起こりかねない。