阪神には行きたくない 糸井2世も敬遠する球団の構造的欠陥
来月26日に迫るドラフト会議に向け、アマチュアの現場で、ある現象が起きている。
パ・リーグ某球団のスカウトが声を潜めてこう言う。
「『阪神には行きたくない』という選手、もしくは『行かせたくない』という現場の指導者の声をよく聞きます。特に地元関西の選手に多いというから、阪神も嫌われたもんです」
阪神は15日に自力優勝の可能性が消滅した。16日こそ巨人に1点差負けだったが、東京ドームで8戦全敗。今季の対戦成績も3勝12敗と、とてもプロ同士とは思えないほど一方的にやられている。
そこでドラフト1位候補の近大・佐藤輝明内野手(4年=仁川学院)である。巨人が指名を示唆したことで一躍時の人となり、「巨人? めちゃくちゃ強いチーム。すごく光栄」と前向きなコメントを残している。
甲子園球場のある兵庫・西宮出身で、小6時にはタイガースジュニア入り。近大の先輩で現阪神の「糸井2世」と呼ばれる。
もちろん、阪神にとっても1位の最有力候補。6月に近大が練習を再開した際に阪神のスカウトだけが視察するなど、これまでも熱心にマークを続けてきた。
関西マスコミは「虎の恋人」と呼んでいるが、リーグ戦開幕時に阪神への思いを聞かれた際には「特別な思いがあるわけではありません」とつれなかった。
プロ志望届を提出し、「12球団OK」を表明してはいる。それでも、巨人と阪神に対するコメントに、こうも温度差があるのはなぜか。関西の球界関係者が明かす。
「もともと大リーグ志向が強く、メジャーリーガーの動画ばかり見ているそうです。だから打ち方が外国人みたいだし、いずれメジャーに挑戦したいようです。地元出身だから阪神ファンであったとしても、実際にそこでプレーしたいかといえば疑問。打率2割そこそこの糸井(39)、1割台の福留(43)といった戦力になっていないアラフォーのFA補強組を重宝して、佐藤と同じ大卒1位入団の野手で『左のスラッガー』の触れ込みだった伊藤隼(31=9年目)や高山(27=5年目)は一軍にすらいない。今年の話題が藤浪(26)や伊藤隼が参加して感染した『コロナ合コン』では、佐藤じゃなくても不安になりますよ。高校生の阪神離れはもっと深刻のようですから」